犬の腐乱死体こと私(かわいいは正義?)


キャリアで独身で恋愛は楽しむけど結婚できない女が負け組なら、喪女でブスで貧乏な独身女は犬の腐乱死体かよ?遠吠えも出来ぬわいっていうような文が強烈で笑った。『「見た目」依存の時代』って本の中で引用されてる小野谷敦さんの文。
どうも犬の腐乱死体です。

本自体はあの「肉体不平等」「自分の顔が許せない!」の石井政之さんの著書です。




私が、可愛いは正義、美しさは善という価値観に疑問を抱いたのは、自分がブスといわれたからではないです。そのときはピラミッドは当たり前で、その中での地位をどうするかばかり考えていた。残念ながら今でもその視点は抜けてないけど。私が疑問を持つようになったのはトニ・モリスンの『青い目が欲しい』がきっかけです。

だから、見た目の話をするなら人種差別の話もしなきゃ嘘だと思ってるから、そういう意味ではちらっとしか触れてなくて物足りなかったかな。米原さんも以前触れていたような美の世界的画一化。
でも、石井さんの本は、毎回私にまるで欠けていた視点からの考え方を提示してみせてくれるので、読んでいて楽しい。狭小の「普通」を目指してあがく人々が戯画化したみたいにグロテスクに鮮やかに見えてくるのは、ずっと彼が「普通」の土俵に上げられず、「見られる」「異常な」存在に押しやられてきたからかとも思う。
今回も、見た目の話なら女の方が辛いはずだという私の偏見まみれ頭をひっぱたくみたいな印象的なパートがあって、すごく恥ずかしくなった。あと、目や眉や鼻なんかどうでもよかったという石井さんからすれば、確かに青い目だろうが黒い肌だろうが気にならないのかもしれない。


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このキャメロン・ラッセルのTEDを合わせるといい感じかも。これも面白いです。

見た目って本当に複雑で一口にすっきり語れないから、どんな本やなんかに触れてもモヤモヤが残る。でもこの本は老い、モテ、市場、自己認識っていうかなり重要な要素にしっかり踏み込んでるから読み甲斐がある。おすすめです。

でもサバイバル法は『肉体不平等』のが参考になったな。バーチャル化してるって指摘と運動しろってアドバイスだけでだいぶ役立つ。この本だと最後の石田さん(NOT石井さん)の、躾がどうとか日本の伝統美がどうとかで興ざめだった。私は裕福でもなければ家柄(笑)がよろしくもないので、こういうすぐに差別と格差に繋がりそうな言説は吐き気がします。

外見が嫌で嫌で悩んでる人は、化粧品と鏡と理想の顔を見つめて泣きまくるよりは、その思想と社会を疑う方が建設的でポジティブかもしれないです。

って元気になってから図書館のトイレに行って鏡見てどうしてもダメだった。ブスで…。がんばって心の方を矯正したい。ねます。